Officeバージョンアップ時の互換性の問題の把握と展開状況の監視
現在、Office365を使用する際には、現在はメインストリームサポート中のOfficeもしくはOffice ProPlusを使用することが前提とされています。現在はこれ以外の旧バージョンのOfficeからも接続はできますが、2020年10月13日以降はこの条件が変更され、メインストリームサポート中のOffice、またはOffice365 Pro Plusを使用しないとOffice365へ接続ができなくなります。
Office 365 のシステム要件の変更
Office 365 サービスに接続できるクライアントの要件を Office 365 ProPlus またはメインストリーム サポート中のオンプレミス版 Office に変更: 2020 年 10 月 13 日より、Office 365 サービスに接続できるクライアントの要件を Office 365 ProPlus またはメインストリーム サポート中のオンプレミス版 Office に変更します。最も優れたエクスペリエンスは Office 365 ProPlus で提供されますが、2020 年までにクラウドへの移行準備が整っていないお客様のために、メインストリーム サポート中のオンプレミス版 Office からの接続もサポートします。
企業向け Office 365 サービスのみに適用: 今回の更新によるオンプレミス版 Office クライアント、オンプレミス サーバーに接続する Office クライアント、一般ユーザー向けサービスのシステム要件やサポート ポリシーへの変更はありません。
3 年以上前に通知: IT 部門が今回の変更に対応する時間と予算をあらかじめ確保できるように、3 年以上前に通知を行うことにしました。2020 年にこの新しい要件が適用されるまでは、引き続き オンプレミス版 Office 2010、Office 2013、Office 2016 クライアントから Office 365 サービスに接続できます。
引用元;https://blogs.technet.microsoft.com/microsoft_office_/2017/04/21/office-365-proplus-updates/
ここで検討すべきOfficeソフトウェアのアップデートですが、規模の大きい企業ですと新バージョンのOfficeの展開を迅速に行なうことが困難なケースがあります。
1.Officeソフトウェアの展開方法についての検討(System Center/WSUS/Office展開ツール・・・)
2.購入するライセンス種別の検討(Aという部門は現在永続的ライセンスで購入し、Bという部門はOffice365 E3を使用しているケースなどで企業内でライセンスが複雑に混在している場合など)・・
これらを検討し、更にベンダー選定やIT投資を考えたりと、規模の大きい企業になればばるほどOfficeソフトウェアのバージョンアップについては難航するかと思います。ちなみに、Officeは各バージョンによって実行可能なマクロが異なるので、例えば2007から2016などへOfficeをバージョンアップする場合、Excelのマクロについても充分な考慮が必要です。この場合に、有効な手段はOfficeテレメトリーダッシュボードを使用することです。
テレメトリダッシュボードを使用すれば、対象の全てのファイルを開き、マクロを実行していく必要はあるのですが、互換性の問題や展開状況について把握できます。また、テレメトリエージェントをインストールした端末で開いたファイルやソリューション(Officeソフトウェア自体)に関する情報は管理者のダッシュボードへ送信されます。
マクロの互換性を調査するときにはこんなシナリオが考えられます。例えば、複数人のユーザーにパイロット的に最新バージョンのOfficeを使用してもらい、業務(マクロ実行を含む)を行なってもらいます。その際に、そのパイロットユーザーがマクロを実行することによって各ファイルに関する互換性に関する情報を管理者は把握できるので、比較的容易に社内全体のOfficeファイルの互換性の問題について把握をすることができます。
では、実際にこのテレメトリダッシュボードを使用するイメージを確認していきます。まず、テレメトリダッシュボードの起動について
オペレーティング システム | テレメトリ ダッシュボードの起動方法 |
---|---|
Windows 7、Windows Server 2008、または Windows Server 2008 R2 | [スタート] メニューから、[すべてのプログラム]、[Microsoft Office 2013]、[Office 2013 ツール]、[Office 2013 テレメトリ ダッシュボード] の順に選択します。 |
Windows 8 | スタート画面で、背景を右クリックするか上または下から内側へスワイプしてアプリ バーを表示し、[すべてのアプリ]、[Office 2013 テレメトリ ダッシュボード] の順に選択します。 |
Windows Server 2012 | 右端から内側へスワイプしてチャームを表示し、[検索] を選択してコンピューターにインストールされているすべてのアプリを表示します。次に、[Office 2013 テレメトリ ダッシュボード] を選択します。 |
管理者がダッシュボードを使用するためには、別途SQLServerが必要です。エージェントがインストールされたコンピューターからネットワークドライブ上へ情報が送信され、それがDBに取り込まれます。
- SQL Server 2005
- SQL Server 2005 Express Edition
- SQL Server 2008
- SQL Server 2008 Express エディション
- SQL Server 2008 R2
- SQL Server 2008 R2 Express エディション
- SQL Server 2012
- SQL Server 2012 Express
テレメトリ エージェントは Office Professional Plus 2013 および Office 365 ProPlus エディションの Office 2013 に組み込まれており、個別に展開する必要はありません。次に示すバージョンの Office を所有している場合は、テレメトリ エージェントをこれらのクライアントに展開する必要があります。
- Office 2003
- Office 2007
- Office 2010
- Office Professional Plus (Microsoft Office 365 の一部として利用可能)
テレメトリダッシュボードが展開されると複数のワークシート上で情報を確認することができます。
ワークシート名 | 用途 |
---|---|
概要 | Office ドキュメントおよびソリューションの正常性の簡易表示、展開の傾向の表示を行います。このワークシートのリンクは、組織における Office の互換性と安定性に関する問題の調査に役立ちます。 |
ドキュメント | どの Office ドキュメントが最も多用されているか調査し、問題が発生しているドキュメントを特定するのに役立ちます。 このワークシートには、Office 2013 およびサポートされる以前のバージョンの Office を実行している監視対象のクライアントのローカル レジストリにある、最近使用した (MRU) ファイルで検出された Office ドキュメントが表示されます。 この一覧には、Office 2013 を実行している監視対象のクライアントの読み込みイベントも含まれています。詳細情報を示すワークシートを開くには、値のリンクを選択します。たとえば、[ユーザー総数] 列で数値を選択すると、そのファイルが MRU 一覧に含まれているユーザーを表示できます。 |
ソリューション | 監視対象のコンピューターで検出されたソリューション (COM アドインなど) の詳細が表示されます。このワークシートには、Office 2013 を実行している監視対象のクライアント コンピューターの読み込みイベントに関するテレメトリ データも表示されます。 ソリューションが原因で Office 2013 クライアントで重大なエラーが発生している一意のユーザーの数については、[重大] 列を確認します。 重大なエラーとその影響を受けたユーザーの数を確認することによって、多くのユーザーでクラッシュが発生しているアドインを強制的にブロックするかどうかを決定できます。 これを行うには、ワークシートの上部にある [アドイン管理モード] リンクを選択します。 また、一部のコンピューターでソリューションの読み込み時間が予想以上に長くなる原因となっているパフォーマンス上の問題を調査することもできます。このワークシートに表示される読み込み時間の値は統計上の平均値です。特定のドキュメントの個別のユーザー読み込み時間を確認するには、値のリンクを選択します。 |
テレメトリ プロセッサ | テレメトリ プロセッサを実行しているサーバー、監視対象のユーザーとコンピューターの数、および最終更新日時が表示されます。 |
展開 | 検出された Office のバージョンとその他の詳細 (各バージョンのアーキテクチャの種類や一意のインスタンス数など) が表示されます。 |
カスタム レポート | ピボットテーブル レポートを作成するのに役立ちます。これにより、テレメトリ ダッシュボード でデータを表示する方法をカスタマイズすることができます。[ドキュメント] ワークシートと [ソリューション] ワークシートに期待どおりにデータが表示されない場合は、カスタム レポートを作成します。詳細については、「テレメトリ ダッシュボード用のカスタム レポートおよびデータベース スキーマ参照」を参照してください。また、「テレメトリ ダッシュボードのカスタム レポート」のビデオ デモも参照してください。 |
スタート | テレメトリ ダッシュボード コンポーネントを展開するためのガイダンスが手順を追って示されます。 |
テレメトリ ダッシュボード ガイド | テレメトリ ダッシュボードの概念について、簡単なチュートリアルが提供されます。 |
ダッシュボードの展開手順について、詳しくは以下TechNetのリンク先を参照してください。
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj219431.aspx
実際にテレメトリダッシュボードを使用したイメージは以下の図です。
これは概要のワークシートですが、ここで定義されている不安定のステータスは以下の方法で算出されています。
- ドキュメントの場合は 95%
- ソリューションの場合は 99.9%
これらのしきい値以下の成功率の場合には、不安定として表示されます。この不安定をドリルダウンしていくと、不安定なドキュメント一覧が表示されます。
※これはサンプルイメージです。
重大な問題がソリューションまたはドキュメント内に幾つ存在しているかといったことも把握できます。また、テレメトリダッシュボードにはOfficeソフトウェアのバージョン毎の実行状況も把握できる機能があります。これを利用することによって、Officeソフトウェアの展開の監視もできます。イメージとしては以下のような感じです。
この機能を使用して、展開対象のOffficeソフトウェアが今社内で、どの程度実行されているかが監視できます。
また、テレメトリダッシュボードではOfficeソフトウェアの展開自体は行なえません。展開は、Office展開ツールや、System CenterまたはWSUSなどを使用して行なっていく形になります。